2022/06/17 のコメントです。
株価の変動は何によって起こるか。多くの投資家は、企業業績の変化により変動するものであると考えるでしょう。概念的に、これは正しい答えであると思います。しかし、実際の株価の変動は、さらに多く要因が混在して変動していくものです。
株価変動の要因は、ファンダメンタルズ、市場内部要因、人気、テーマ、アノマリーなど多くの要因により変動しています。
さらに、株価変動を長期に見るか短期に見るかによっても、その捉え方は異なってきます。株価変動は上か下しかないのに、その変動要因は多岐にわたるため投資家を悩まします。
では、短期売買を主体とした売買では、株価変動要因のどのあたりを注視していけばよいのでしょうか。まず、ファンダメンタルズにおいては、株価と企業業績の間に6ヶ月から9ヶ月のタイムラグがあると言われていますので、短期売買をファン ダメンタルズだけで判断するのは少し無理があるようにも思えます。
人気やテーマについては、その分析も難しく、それぞれの投資家の受け止め方によってまちまちです。人気やテーマは、短期売買に向いているように思えますが、これらを数値化して判断することは困難です。
また、アノマリーとは、マーケット(相場)では、はっきりとした理論的な根拠を持つわけではないが、よく当たるかもしれないとされる経験則のことをいうものです。たとえば、季節的要因で株価の変動を判断することなどを言います。しかし、これらも傾向はあるかもしれませんが、不確定要素の多いところでしょう。
残るは市場内部要因です。市場内部要因には絶対的なものがあります。それは、信用期日と追証です。意味は違うかもしれませんが、絶対のない投資の世界に唯一あるのが、この信用期日と追証です。
投資家は上がるか下がるかに一喜一憂し、投資判断を行うものですが、それ以前に信用期日と追証は有無を言わせず絶対優先で処理しなければなりません。
これらを逆に考えてみると、たとえば、信用で買った時期やその量が分かれば、その絶対期日では必ず反対売買が出てくることになります。当然ながら、期日前に処分してしまうことは多いのですが、相対的に信用で買った時期やその量の多いところから、その後の減少で判断すれば、信用期日にどのくらいの売り圧迫があるかわかります。
これらは信用取引における時間軸(X軸)ですが、変動幅(Y軸)においても追証という絶対な要素があります。信用で買った投資家は、株価下落では、ある一定幅の下落で追証が発生します。追証では追加保証金か処分を迫られます。
もし、信用で買ったピーク時が分かれば、株価がどの水準になれば処分売りが発生するか推測することができます。
また、出来高においてもある程度は推測できます。出来高の多いところは参加者の多いところであり、その後の株価変動により、その多くの参加者の行動に影響を及ぼしてきます。
もし、多くの参加者の水準(平均値)より株価が上昇となった場合、多くの参加者の平均的な考え方の水準で上げ止まります。多くの参加者の平均的な考え方とは、利食い幅のことです。一般的に平均的な利食い幅は通常20%程度です。「20%」の根拠は、投資家が20%は取りたいという心理からでしょう。
つまり、多くの参加者の水準より株価が20%程度上昇となった場合は、いったん上げ止まり、押し目を形成するということになります。これらは、あくまでも統計的な数値ですので、相場環境が悪かったり、その銘柄の業績が芳しくなかった場合などはその限りではありませんが・・・。
また、多くの参加者の水準(平均値)より株価が下降となった場合は、あまり明確な統計的な数値はないようです。なぜなら、多くの投資家(現物投資)は損切りせず持ち続けるからでしょう。つまり塩漬けです。ただ、多くの参加者の水準(平均値)より株価が10%下げた場合は、その水準から投げが出てくるようです。なぜなら、「損切りは10%で」という投資家が多いためです。これも投資家心理です。
以上のように、絶対的な要因や投資家心理により、ある程度は株価の変動予想は付いてくるのです。よって、短期売買においては、市場内部要因を中心に分析することをお勧めします。
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