2020/08/14 のコメントです。
株式投資においては、信用買い、空売りという制度が備わっています。ところが、信用買いは大いに勧めるものの、空売りを勧めるところは少ない。業界新聞や業界誌においても、その内容は「買い」オンリーである。
空売りは「青天井となるので恐い」などとして、空売りはしないという投資家も多いようです。空売りが恐いなどと言うのは大昔の話であり、株式市場は20年以上のダウントレンドなのに何をか言わんやである。
そもそも「買い」オンリーは、大証券会社や業界の指導で作り上げられてきた間違った神話なのです。その理由として、相場が下げはじめると出来高が減少してくる。出来高が減少しては手数料収入に響く。新規公開や増資等の手数料も少なくなる。その他諸々の理由から、相場が下げると困るので空売りは勧めない。
一般の投資家も株式投資とは、現物買いで長期に持続するものであると教育されてきている。投資における外部環境が「買い」オンリーであるため、知らず知らずのうちに潜在意識に刷り込まれ、時とともに、これらに何の疑問も抱かなくなる。
本来、信用買い、空売りが必要なことは、相場の公正、かつ相場の潤滑なる取引を行うことであったはずです。それが業者の利益のためばかりとはいえ、空売りは好ましくないというのは、はなはだ遺憾ではないだろうか。
かくして、一般投資家は「買い」オンリーであり、さらに中・長期に持続して評価損が日増しに増加を辿っている。大きなダウントレンドであると言うのに・・・。結果として、現在の個人投資家の売買シェアが少なくなってしまっている。
近年は長期の下降相場により、空売りを実践する投資家も増えてきているようですが、「空売り」対「信用買い+現物買い」の比率を見れば雲泥の差である。いかに片寄った売買をしているかが伺われます。
元来、売りと買いはニュートラルであるべきではないだろうか。この比率が歪んでいるため、多くの投資家が収益を上げていないという結果になるのでしょう。もう少し、周りの雑音をシャットアウトして、相場を客観的に見ることはできないだろうか。
「儲かりますよのセールストーク、儲かるのはセールスマンだけ」というように、本当の儲け話など誰も持ってきませんよ。熱心に勧めるのも結果として自分の利益になるからです。情報収集や人の意見を聞くのもよいのですが、あまり他力本願とならず、その本質を客観的に見る余裕も必要なのではないでしょうか。
かなり古い話で恐縮ですが、以前に「歌は世につれ、世は歌につれ」という言葉がありました。これは、歌は世の成り行きにつれて変化し、世のありさまも歌の流行に影響されるという意味です。
昔の歌と現在の歌のヒット期間を見てみると、昔は歌手も一曲ヒットすると、その持ち歌で一生食って行けた。現在ではどうだろうか。ヒットしてもせいぜい3ヶ月程度ではないだろうか。これは何を意味するかというと、それだけ世の中の移り変わりが激しいということを物語っています。
つまり、情報化社会が世の中の移り変わりを激しくしているわけです。世の中の移り変わりが激しいということは、企業においても同様です。時代の寵児ともてはやされ彗星のごとく登場してきても、あっという間に消えてしまう。現代は、そのように変化の激しい時代なのです。
このような観点から相場を見てみると、やはり投資市場も変化の激しい展開になると容易に想像できます。つまり、個別銘柄においても上げ下げの大きい相場展開になるということです。
「買い」オンリーや中・長期投資については、再考の必要があるのではないでしょうか。空売りについても一考の価値があると思いますが、いかがでしょうか。
『現在の苦境を嘆く。それは過去の最良の時と比較しているからである。だからいつも不満を言う、愚痴をこぼす。視点を変えろ。最良のときはこれからくる』
『マイナス思考とは、先のことを考えすぎたり、物事の成否を考えすぎたりすることにより、限界意識が先に立って起こるものである。絶対にやめろ』 |