2022/09/17 のコメントです。
最近の株式市場は、信用期日の到来などもあり激しく変動しています。投資においては自分の持株の評価も気になるところですが、信用残や信用の取組なども常に監視しておかなければなりません。信用残や取組は市場内部要因ですが、特に短期売買の投資家は、日ごろからこれらの指標を注意深く観測しておくべきです。
では、テクニカル分析は、市場内部要因などを中心に分析する手法ですが、具体的にはどのような分析を行うのでしょうか。
テクニカル分析には、テクニカルの三要素といわれる分析手法があります。それは「収益率」「ボラティリティ」「相関」の三つです。まず、個別銘柄を分析するにあたっては、現在の株価は高いのか安いのか、また、どの程度上昇しているか、どのくらい下降しているかの判断が必要となってきます。
たとえば、過去1年前の株価と現在の株価を比較した場合、1年前の株価か500円で、現在の株価が700円だとしますと、この銘柄は40%((700-500)÷500×100)の上昇となります。これが「収益率」です。当然ながら現在の株価が1年前の株価より下げていれ収益率はマイナスとなります。
「ボラティリティ」については、当欄で何度も解説していますので、すでにご理解されていると思いますが、ボラティリティとは、株価の上下の変動幅のことです。通常は標準偏差などを用いて算出します。瞬間的に見て判断するのであれば、過去の高値と安値の幅(高値÷安値)を見ればおおむね見当は付きます。ボラティリティの判断は、偏差値が大きい場合はハイリスク・ハイリターンの銘柄であると判断できます。
つづいて「相関」ですが、これは市場全体の動きと該当する個別銘柄がどのくらい似た変動をしているかを判断する指標です。これらの指標から、市場全体と同じような変動であれば、市場の流れに沿った銘柄であると判断できます。逆に市場全体の変動と異なった動きであれば、何か悪材料を内在しているか、または、業績上昇などの好材料があるのか判断ができますが、一般的に相関が小さい場合は、問題ありの銘柄が多いようです。
ここで、これらの指標で大きい、小さいと判断していますが、これらは何に対して大きいのか小さいのかが分からなければ明確な判断基準とはなりません。これらの明確な基準を示すためにも軸となる指標がなければなりません。
株式市場において、これらの軸となる指標が日経平均やTOIPXなどです。つまり市場全体を表す指標が軸となります。よって、個々の銘柄は、これらの指標に対比させることによって明確な判断ができるようになるのです。つまり、個別銘柄のみの判断で、高い安いを判断してはいけないと言うことです。
たとえば、「収益率」について、個別銘柄において500円から700円まで上昇(40%)したので高くなったと判断したが、市場全体は60%もの上昇であった場合、その個別銘柄(業績等考慮しない場合)は決して高い位置にあるとは判断できないでしょう。
また、個別銘柄の「ボラティリティ」においても市場全体の変動幅と比較するべきです。市場全体の変動幅より大きい場合は注目銘柄であり、また、反対に注意銘柄でもあります。ボラティリティが大きく、収益率の高い銘柄は現在の人気銘柄であり、リスクはあるものの高いターンが望める銘柄となります。反対にボラティリティが大きく、収益率の低い銘柄は、何らかの悪材料により下落途中の銘柄と判断できます。
「相関」については、市場全体の動きと似ているか否かの判断指標ですが、これらを調査してみると、相関性の低い銘柄はやはり何らかの悪材料が内在している銘柄が多く見られます。
テクニカル分析における個別銘柄の分析は、やはり、市場全体の指標(日経平均やTOIPX)に対比させながら分析することにより、より正確な判断ができるものと思います。 |