2020/07/31 のコメントです。
市場の変動の要因のひとつとして当局の介入がある。実弾での介入もあるが、口先だけの介入もある。暴落のように市場が通常の変動から大きく乖離した場合などは、ある程度の介入もやむを得ないときもあるでしょう。
しかし、その介入の効果のほどはいかがなものだろうか。グローバル化した経済では、一国の介入でその大きな流れを変えることはできないでしょう。結果的にはプラスの面もあるがマイナス面もあります。
そもそも、市場の価格は市場が決めるものであって、その介入も逆効果にならなければよいのだが・・・。
以前に、株価を下げないように当局からの指導で、株式市場にかなりの介入を行ったことがありました。しかし結果としてその壁も破られ、その後長らくそのラインが重しになっていたようです。
市場の価格決定は、そのファンダメンタルズに基づいて変動するものです。時には、行き過ぎもあるでしょう。しかし、行き過ぎもいずれ是正され、軸であるファンダメンタルズに回帰していくものです。
このようなことから、あまり市場を操作するべきではなく、市場は市場に任せればよいのではと考えますが、いかがでしょうか。
このような外部要因が、我々の投資活動にどのように影響するかはわからないものです。また、それらを持ち株の売買の判断にどのように結び付けていくかはさらに難しいものとなります。
もし、円相場の判断から、現在は円高となっているので輸出産業には影響が出るだろうとシナリオを描き、それらに沿った運用を行ったとします。また、今は金が上昇しているので、まだまだ上昇するだろうというシナリオを描いて売買したとします。
それらのシナリオに沿った相場展開となれば申し分ないのですが、しかし、相場が描いていたシナリオと反対に展開した時には、どのような判断を下すのでしょうか。
人間は、往々にして描いたシナリオが達成されるまで頑張ってしまうという傾向が強いと言われています。相場においても同様で、見込みが違っていても「そんなはずはない」といって頑張ってしまいます。描いたシナリオの結果は、相場の確率と同様に五分五分でしょう。
相場においては、この「頑張ってしまう」が、相場においては命取りになるのです。損切りを受け入れられないということもありますが、どうしても自分を否定することができないようです。
人は皆、自分はいつも正しいと思っています。だから意見の対立も起こるわけです。人はそれぞれに異なった価値観を持っていますので、これらについては問題があるわけではありません。
しかし、相場の世界は異なります。いつも正しいのは相場の方です。いくら投資のシナリオを描いても相場の変動の方が正しいのです。相場に向かって「それはおかしい」などと言っても始まりません。投資では相場がいつも正しいのです。
相場が正しいとすれば、いくらシナリオを描いても無駄ということになってしまうのではないか・・・。そのとおりです。無駄というよりマイナスとなってしまいます。なぜなら、描いたシナリオの反対に変動した場合に頑張ってしまうからです。意地を張ってしまうからです。
意地を張っては相場で儲けることはできません。常に相場が正しいのですから・・。経済ニュースなどを聞くと、どうしても無意識に自分なりの予想や展開を考えてしまいます。それはそれでよいのですが、その予想や展開を運用にまで取り入れてしまっては問題が起きてくるのでは・・・。
私も経済ニュースなどを聞いて、その予想や展開なども考えますが、運用自体がシステム売買であるため、それらを運用に取り入れることはありません。
あまり、マスメディアなどの情報を鵜呑みにするのではなく、投資の本質や原点を見極めて、できるだけシンプルな方法で運用すべきではないでしょうか。 |