2022/05/14 のコメントです。
投資において最も実行が難しいのは、言うまでもなく「損切り」である。カリフォルニア大バークレー校のテレンス・オーディーン教授による有名な論文によると、「値下がりしている銘柄の投げ売りに対する嫌悪感は投資家に広く共有され、コストも大きいことが証明されている」と言う。
教授の研究では、投資家が損が出ている銘柄を売り、値上がりしている銘柄はそのまま保有していれば、リターンが高まる可能性があることが判明した。 「投資家は、しばしば、感情移入もしくは他の多くの人々が買っているからとの理由で株式やファンドを購入する。何百万人もが好ましく思っているならそれは良い投資であるはずだと考えるとすれば、それは誤りだ。今後も適切な投資になることを意味しない」と述べている。
要するに、投資においては「損小利大」でなければ儲かりませんよ、と言うこと。また、ほかの投資家の行動を真似して、付和雷同しても儲かりませんよ、と言うことです。 ノーベル経済学賞受賞者で「シンキング・ファースト&スロー」の著者であるダニエル・カーネマン氏が「コントロールの錯覚」と呼ぶ、多くの投資家が市場を見据える際に抱く思い込みを克服することだ。あなたの手で自由になるのは、投資額と投資頻度、貯蓄額だけにすぎないとも言っている。
投資における常識は、投資家の思い込みに依存するところであり、これらを克服しなければ利益にはなりませんよ、と言うことです。投資の常識は非常識でもある。
これらの問題は、当欄で常に取り上げているテーマでもあり、当研究所の投資に対する考え方、方向性は間違ってはいないと思うところです。
さて、話題は変わりますが、投資家は株価が高値となり、収益が上がってくると直近のパフォーマンスがこれからも続くと考えがちです。しかし、その後、値下がりに見舞われると「高値覚え」となり、パフォーマンスが一番良かったときと現在のパフォーマンス比較して「もし、最高時のパフォーマンスと同様になったら処分しよう」などと考える。しかし、「戻り待ちに戻りなし」である。
これらは、投資家であれば誰でも抱く感情でもある。「一番良かったときのパフォーマンスと比較してもしかたがないじゃないか」とは分かっているものの、これらの感情を打ち消すことはできない。感情のコントロールほど難しいものはない。
投資とは「歓喜と絶望の世界である」と言われています。歓喜と絶望は心の問題でもある。分かっていてもできないのが人間でもある。これらは、個人の性格に依存するところが大きく、一様に解決することはできない。
これらの問題を解決するひとつの方法として、相場と一定の距離を置いて付き合う考え方がある。デイトレードは別として、日中に株価などは見ないようにすることです。株価は終値だけを見るようにする。
私の迷言集に「欲が絡めば見えるものも見えなくなる。入れ込みすぎは盲目となる。利得を前にしては道義を思え」とあるが、あまり相場に没頭すると客観的な判断が失われ周りが見えなくなる。
また、迷言集に「ひとりで考え悩むほど、正しい解決方法から遠ざかり、そして曲がる」とあるが、追い込まれた状況での決断の多くは失敗を招くものです。これらは私の体験談ではありますが、日中に株価を見たり、株式ニュースを見たりすることは、あまり良いとは思えない。情報過多は迷いを引き起こすだけです。
やはり最終判断は、雑念、雑音を排除し、終値のみで決断するべきではないでしょうか。 |