2021/08/28 のコメントです。
通常、信用取引は短期売買を目的として利用します。信用取引では現物取引と異なり信用期日があり、また日歩などが発生することがあります。信用取引を実践するに当ってはこれらを十分理解して売買しなければなりません。
信用期日については、たとえ忘れていたとしても期日には処分されてしまうだけですが、空売りの逆日歩は、日々チェックしておかないと利益以上に日歩がかかってしまうこともありますので注意しなければなりません。
ここで改めて、日歩について考えて見ましょう。日歩とは、信用取引において信用買い(空買い)をした際に徴収される金利のことです。買い方金利とも言います。日歩の元々の意味は、利息計算期間の単位を1日として定められる利率のことです。通常、元金100円に対してかかる1日分の利息を何銭何厘と表します。
日歩は信用取引の建て玉を決済した時に清算されます。信用取引の金利は受渡ベースでの両端入れと言って、建て玉した日と返済した日とを日数に入れて計算します。信用取引でデイトレード(日計り取引)をした場合は1日分の金利となります。円未満は切り捨てとなります。
日歩の計算式 日歩=約定金額×年利率×日数÷365(日)
買い方は、取引に必要な資金を借りるため、金利を支払います。一方、売り方は、証券会社に預託してある株式の売付代金を、空買い注文の融資に充てることができるので、金利を受取れます。この金利を「日歩」といいます。
逆日歩の場合、売りの注文(貸株数)が買いの注文(融資)を上回ると、株が不足します。そのため証券会社は、証券金融会社から株を調達します。さらに証券金融会社内で株が不足した場合、証券金融会社は外部から株を調達します。このときに発生する株の調達費用(品貸料)を逆日歩といいます。
日歩については上記の内容ですが、通常、日歩が「何銭」単位であればあまり気にする必要はないと思いますが、空売りにおいては逆日歩となり、日歩が「何円」単位にはなれば、つなぎを入れる、または処分するなどの対策を取らなければなりません。
実際の信用取引での売買において注意しなければいけないことは、空売りの逆日歩です。空売り銘柄に逆日歩が付いてくると、売り方は毎日日歩を支払わなければなりません。そのため、逆日歩が上がってくると売り方は、その日歩の支払に耐えられなくなり、空売り銘柄を手放すことになります。つまり「日歩攻め」に遭うことになります。
空売り銘柄を手放すということは、その銘柄を買い戻すことになります。ここで、ある一定の日歩、またはある一定の株価水準になると一斉の投げが発生します。一斉の投げは株価急騰となると、今まで我慢していた空売り筋も一斉に投げてくることとなり、さらに株価は空売り筋の恐れている青天井となります。
「日歩攻め」は、仕手筋が良く使う手口で、業績のあまりよくない銘柄やボロ株などの銘柄を利用し、一般投資家が「企業内容も良くないのに株価が高すぎる」として空売りをかけたところを仕手筋がさらに買い増しして株価を吊り上げ、空売りを誘う手口で仕掛けます。
このような場合、売り残を注意深く観察していれば分かるものですが、あまり信用取引の知識ない投資家は、株価急騰に恐れをなし空売り銘柄を手放してしまいます。仕手筋はそのあたりの投資家の心理を巧みに利用して売り逃げしてしまうものです。
仕手株ではなくても通常、売り残の多い銘柄の株価は大きく下げことはあまりありません。何らかのショックで相場全体が下げることがあっても、売り残の多い銘柄は売りの買戻しが入るため市場の下げより大きく下げることはありません。
そのため、新規に買い銘柄を探す場合などには、売り残の多い銘柄を選択することもひとつのテクニックかもしれません。もし、売り残の多い銘柄を仕掛け、その後に逆日歩にでもなれば、日歩が毎日入ってくることになります。昔は、これらを利用した「日歩稼ぎ」という言葉があったくらいですから・・・。
短期売買においては、やはり信用取引の買い残や売り残にも注視して対処する必要があります。 |