2021/03/19 のコメントです。
前回は信用残高による高値圏、安値圏の見方を解説いたしましたが、これらの判定方法以外にも多くの判定指標があります。複数の指標を総合的に判断すれば容易に現在の相場状況を把握することができます。
たとえば、株価であれば現在の株価が過去一年間の高値、安値間のどの位置にあるか。また、出来高においても過去一年間の最高出来高、最低出来高間のどの水準にあるかなどから判定することができます。
もちろん、これらはひとつの指標での判断ではなく、各々の指標を詳細に検証して、それらの指標の80%以上が高値を示していれば高値圏である、または安値圏であるなどと判定します。投資家各自が自分の投資手法に合った相場判定指標を作成し、常にこれらと照らし合わせて判断すべきです。
実際の出動は、これらの判定後であるべきです。投資資金があるからなどと言って銘柄探しなどをしてはいけません。まずは相場水準などの判定を行ってから行動すべきです。
株式投資で成功するか否かは、相場の判定にかかっていると言っても過言ではありません。相場の判定は、投資で成功するウェイトの80%を占めると言われています。いかに重要であるかお分かりいただけると思います。
相場の判定だからといって、今後の相場の見通しを判定するわけではありません。現在の相場水準を見極めるということです。たとえば、現在の相場水準がニュートラル(50%)であった場合、その水準には底から上昇してきたニュートラルか、天井から下降してきたニュートラルかは過去の推移から判断すれば容易なことです。そのためにも、これらの指標を定期的に作成し記録しておく必要があります。
出来高などにおいても出来高が少ないところは安値圏となっていることが分かります。一般に出来高が多いところは高値圏です。これらは株価チャートを見ても分かりますが、視覚的、感覚的ではなく実際の数値で記録すべきです。
株価の底値は過去一年間の最低出来高と同等の出来高になってからでないと株価上昇とはならない。株価上昇となり、過去一年間の最高出来高と同等の出来高ができれば高値圏であるなどのセオリーがあります。これらも最高出来高、最低出来高の記録がなければ判定できません。
テクニカル分析においては株価だけの分析だけではなく、出来高や信用残高などの市場内部要因を総合的に分析しなければなりません。これらの分析は投資家における最低検証項目であり、これらの検証なしでは戦わずして負けるのも当然である。
すべて数値で判断するべきです。なぜなら、現在おかれた投資家の状況により、相場状況を客観的に捉えられなくなってしまうからです。たとえば現在、投資資金も豊富にあり、強気な状況であれば買いたい一心で細かな数値による判断は疎かになりがちです。
なぜ、私が数値、数値とくどくどと何度も述べているか分かりますか。投資家は、常に相場変動に感情が揺さぶられる状況で売買しています。しかし、本来、投資においては投資家の感情は不要なはずです。勝ち続けている時と、負け続けている時の投資家の感情が同じということはあり得ないはずです。
実際に投資家の感情は投資においてマイナスの要因となります。しかしながら、人間である以上感情は出てくるものです。そこで、これらの感情をできるだけ抑え、できるだけ客観的で冷静な状態に戻してくれるのは数値であると考えています。
私の投資体験において、投資家がどのような状況におかれても客観的に、そして、投資家を冷静な状態にさせてくれるものは数値以外にはないと思っています。
個人投資家の話を聞いていると、ほとんどの投資家はこれらの記録を取っていない場合が多い。記録がなければ過去も振り返られない。振り返るとすれば、自分の記憶だけです。記憶ほどあいまいなものはない。記憶があいまいであれば結果はさらにあいまいになってしまう。
必ず数値を記録することです。記録することによって過去の推移も把握できます。過去の記憶を呼び戻すこともできます。早速、今日から投資日記を付けてみましょう。 |