2021/03/27 のコメントです。
先日、ある投資家達の会合に出席しました。私はいつも聞き役ですが、投資家達はそれなりに自分の投資自論を持っているようで、とても弁が立ち話し方は流暢であった。その会合の出席者のほとんどは本業を持って投資活動をしているようです。出席者は20名ぐらいで、年齢層は30代後半から50代ぐらいだろうか。
会合に出席している投資家達のほとんどがFX、またはオプションなどの投資家であった。株式投資は以前はやっていたが、現在はFX、オプションを中心に実践しているようだ。投資資金は小額のようであり、話題の中心はやはり売買テクニックについての討論となっていました。
長く話しているとついついホンネがでてくるようでした。皆さん知識も豊富で投資に対する考えをとうとうと述べていました。現在の投資家達の考えや業界の状況が理解できたような意義ある一日でした。
ある投資顧問による損失問題も話題に上りました。その投資顧問会社は「逆張り」というリスクの高い投資方法でデリバティブ(金融派生商品)の売買を繰り返した結果、 多額の損失を出していたとのこと。そしてスポンサーに対して虚偽の報告を繰り返したようです。運用実態は「ひたすら逆張り」「逆張り」で損失拡大=高リスク投資繰り返すなどの内容だったようです。
一般にオプションなどの金融派生商品はリスクの高い投資対象であるのは当然ですが、「逆張り」がリスクの高い投資手法であると話していたのが、私には興味深かった。話の中でその投資顧問は、国債の先物取引など高リスクのデリバティブを中心に、ほとんどの売買を逆張りで実施。思惑が外れ損が出ても手じまいせずに取引を続け、さらに損失を拡大させたと話していた。逆張り手法で損切りせずにナンピンを続けていったのだろうか。
逆張りは、下落局面で購入するなど、相場の流れと反対の売買をする投資手法。相場の流れに沿う「順張り」と比べ、タイミング良く反転すれば大きな利益を得られるが、裏目に出た場合の損失も大きい」とある解説書に書いてあった。つまり、リスクの高い商品をリスクの高い手法で運用していたということになる。
その投資顧問は多額の資金を集め、さぞかし高度な投資技法により運用していたのかと思いきや、投資初心者と変わらないような売買をしていたのには驚きました。
投資において損失の発生は避けられません。しかし、損失を取り戻せるかどうかは、その対処法で決まってきます。損失を最小に抑えられれば、次の投資機会が得られることになります。
投資家は損失が生じたときには、投資家心理として一様に何とか損失を埋めよう、取り戻そうと、さらに高いリスクを取って損失を取り戻そうとする心理が働くものです。このような投資家心理は、学者の研究により証明されていることでもあるのです。
損失が発生したときに、その損失を取り戻そうとする行動にナンピンがあります。ナンピンは心理的負担を軽くし、損失が軽減されたような錯覚に陥ります。特に初心者がはまり易い行動です。
ナンピン買いをしようとするときの心理は、損失を取り返したい気持ちから「これだけ下がったら、もう底値だろう」という投資家の相場観に基づいて行うものです。結局、これらが損失拡大となって泥沼にどんどんはまってしまうのです。
おそらく、その投資顧問も、何とか損失を取り返そうとして、ポジションを拡大し、思惑どおりにいかずに破綻したのではないでしょうか。ナンピンは大きな損につながる行動と言えますから、絶対にするべきではありません。
大手投資顧問でも個人投資家であっても、投資の基本から外れた運用手法では、いずれ破綻の道を辿ることになります。我々投資家も今回の話を「他山の石」として学ぶ必要があります。
投資の世界では、誰でも考えそうなことや誰でも陥りやすい心理状態での行動は通用しないと肝に銘じることです。明らかに、これらが失敗の発端となるのです。株式投資で継続して勝つためには、大きく勝つことを重視することではなく、より大きく負けないこと、よりリスクを抑えた投資行動をするべきです。 |